欧州では、ボイラーと煙突の技術交流が前提になっている
木質バイオマス設備を見ていると、欧州では「ボイラーメーカー」と「煙突メーカー」が、それぞれ独立して製品を供給しているだけではないことに気づきます。
煙突メーカーは、ボイラー側から排ガス温度、排ガス量、必要ドラフト、運転圧力などの条件を受け取り、それをもとに煙突径や高さ、煙道ルート、圧力損失を検討します。
Schiedelは、大型バイオマスボイラー向け排気システムについて、主要なボイラーメーカーと緊密に連携し、計画段階から排気システムを用途に合わせて調整すると明記しています。実際の施工事例でも、ボイラーメーカーとの密接な調整を前提に排気システムを設計・施工しています。
DINAKも、EN 13384-1・EN 13384-2に基づく計算ソフト「DINAKALC」を提供し、単独ボイラーだけでなく複数機器やカスケードシステムまで計算対象としています。さらに、設計者向けに個別案件の検討や技術支援を行っています。
こうした動きを見ると、欧州では「ボイラーを売る会社」と「煙突を売る会社」という関係よりも、ひとつの燃焼・排気システムを成立させるために、メーカー間で技術条件をやり取りする文化が根付いていることが分かります。
また、煙突メーカー自身がバイオマス設備や煙突設計に関する技術研修を行い、施工者や設計者の知識を底上げする仕組みも整えています。Schiedelでは、バイオマス設備、煙道、煙突設計、施工に関する専門トレーニングを実施しています。
一方、日本では、ボイラー、煙道、煙突が別々の設計区分や担当者によって検討されることも多く、メーカー間の技術的なすり合わせは、個々の案件や担当者の力量に委ねられる場面があります。
ここは、木質バイオマス設備を安定して運転するうえで、もっと重視されてもよい部分ではないでしょうか。
ボイラーの性能だけを高めても、その排ガスを受ける煙突側が適切に設計されていなければ、システム全体としては成立しません。
欧州で見られるメーカー間の技術交流は、単なる情報交換ではなく、設備全体の性能と安全性をつなぐ設計プロセスの一部なのです。


